社会人になってから走り始め、気づけば月間500km、年間10足ものシューズを履きつぶす市民ランナーになっていた。毎日のようにアスファルトを踏みしめ、雨の日も風の日も走り続けてきたからこそわかることがある。「このシューズ、評判はいいけど自分には合わなかった」「思わぬ落とし穴があった」――そんなリアルな声を、今日は包み隠さず書いていきたい。

シューズ選びに失敗したくない人に届いてほしい。


ランニングシューズはただの靴じゃない

最初に声を大にして言いたい。ふだん履きのスニーカーで走るのは絶対にやめたほうがいい。私も最初は「靴なんてどれも同じでしょ」と舐めていた。3日目に膝が悲鳴をあげ、1週間で走れなくなった経験がある。

ランニングシューズの最大の役割は衝撃吸収だ。アスファルトを走るとき、足には体重の3倍もの衝撃がかかる。これを何千回、何万回と繰り返すわけだから、専用のミッドソールが入っていない靴では膝や腰を守れない。アッパーの通気性やフィット感も、長い距離を走れば走るほど差が出てくる。蒸れてマメができる、かかとが抜ける、つま先が痛くなる。こうしたトラブルはすべて「走るために設計されていない靴を履いた」ことが原因だったと、今ならわかる。

買うときに絶対確認すべきは「サイズ感」

ランナーの間では常識だが、普段履きと同じサイズのランニングシューズを選ぶと高確率で失敗する。走っているうちに足は膨張するからだ。私の実測では、フルマラソン後は足囲が5ミリ以上太くなることもある。

基本は「つま先に親指の横幅ひとつ分、1cmほどの余裕」だ。店舗で試着するときは必ず両足で試し、実際に店内を軽く走らせてもらうのがベスト。そしてウィズ(足囲)の確認も忘れずに。私は典型的な日本人の幅広足で、2Eから3Eのシューズを選ぶ。メーカーによって同じ2E表示でも履き心地がまったく違うから、必ず試し履きしたほうがいい。

私が実際に履いてわかった本音のインプレッション

ここからは2026年現在、実際に数ヶ月以上走り込んで「これはいい」「ここは気になる」と感じた3足を正直に紹介する。

まずOnの「Cloudsurfer 2」だ。仲間内では「忍者シューズ」と呼んでいる。とにかく足音がしない。着地が異様に静かで、フォアフットでスッと前に出る感覚がクセになる。軽くて気軽に走りたいときに最適で、1回10kmくらいのペース走でよく使う。ただ、路面が濡れているとアウトソールが滑りやすい点は注意が必要だ。雨上がりのタイルやマンホールの上は冷やっとする。向いているのは体重60kg以下の人や、ピッチ走法で軽快に走りたい人。大柄なランナーにはクッションが物足りなく感じるかもしれない。

次にアディダスの「ADIZERO EVO SL」。これが今年一番の衝撃だった。カーボンプレートが入っていないのに、明らかにタイムが縮まる。今までキロ5分20秒が精一杯だった10km走が、履き替えたら5分を切れるようになった。軽量なのにクッションがしっかりしていて、着地のたびに「トン、トン」とリズムよく弾む感覚がある。マラソン本番で使うなら、足の筋力がある程度必要だから、初心者よりは月間150km以上走る中級者以上におすすめしたい。

3足目はナイキの「インフィニティ ラン 4」。もう5年近く、このシリーズには助けられている。極端に柔らかいわけでもなく、反発が高いわけでもない。なのに不思議と「安全に走れる」感覚がある。私は過去にシンスプリントを繰り返していたが、インフィニティに変えてからピタリと症状が出なくなった。同僚が次々と故障で離脱するなか、ひとり元気に走り続けられているのはこの靴のおかげかもしれない。重たいと感じる人もいるようで、スピードを出す練習にはあまり向かないが、完走を目指すフルマラソンや、故障せずに走り続けたい人にはこれ以上ない選択肢になる。


私がやらかした失敗と、たどり着いた「2足ローテーション」

かつて私は、お気に入りの一足だけで毎日走っていた。1ヶ月ほどでソールの外側だけが極端にすり減り、シューズが傾いて膝の外側が痛くなった。足底筋膜炎も経験した。シューズがへたった状態で走り続けたことが直接の原因だったと整形外科で指摘された。

いまは必ず2足をローテーションしている。クッションが厚めのジョグ用と、やや軽めのスピード練習用の2タイプだ。交互に履くとそれぞれのシューズの寿命が伸びるだけでなく、足裏への刺激のパターンが変わるので同じ部位に負荷が集中しにくくなる。週4〜5回走る人には、年間で見たときの故障リスクがまったく違ってくる。

安いシューズで妥協するとどうなるか

コスパ重視でネットで見つけた激安のノーブランドシューズを買ったこともある。2,000円台だった。履いて5km走っただけで足裏のアーチが痛くなり、ソールもペラペラですぐにゴミ箱行きになった。安物買いの銭失いとはまさにこのことだ。

とはいえ、高ければいいわけでもない。3万円を超える厚底カーボンシューズを試したこともあるが、私の走力では扱いきれず、かえってふくらはぎを痛めた。市民ランナーに本当に必要なのは「汎用性の高さ」と「耐久性」、そして「自分の足に合っているか」という一点に尽きる。

シューズの寿命は意外と短い

どれだけ気に入ったシューズでも、走行距離500kmから800kmが交換の目安だ。私の場合、月間500km走るので1足あたり約1ヶ月半しかもたない計算になる。クッションがへたってくると走った後の疲労感が明らかに変わるから、最近は少しでも「なんか硬いな」と感じたら即交換している。ソールの溝がなくなっていなくても、衝撃吸収材は確実に劣化する。ケチらず買い替えることが結局はケガの予防になる。


最後に伝えたいこと

走る目的は人それぞれだ。ダイエットなのか、レースで記録を狙いたいのか、健康維持なのか。自分の目的をはっきりさせてから、シューズを選んでほしい。それだけで選択肢はぐっと絞られる。

私はこれからも、気になる新作が出たら片っ端から試して走り込んでいくつもりだ。数ヶ月後にはまた違った結論を出しているかもしれない。それくらいランニングシューズの世界は進化が早い。だからこそ、情報をアップデートし続けることが大事だと痛感している。