フルマラソン後半の心拍爆上がり、原因はカフェインかも
フルマラソン後半、30kmを過ぎたあたりで突然心拍数が跳ね上がり、ペースを維持できなくなった経験はないだろうか。海外のランニングコミュニティでも「20マイル地点でカフェイン入りジェルを摂ったら心拍数が急上昇した」といった報告が散見される。原因のひとつとして疑われるのが、レース中に摂取するエナジージェルに含まれるカフェインだ。カフェインは覚醒作用や脂肪燃焼促進、疲労感の軽減といったメリットがある一方で、過剰に摂ると心拍数の増加や動悸、胃腸の不調を引き起こすことがある。特にフルマラソンのような長時間の高強度運動中は、もともと心拍数が高い状態にあるため、カフェインの影響がより顕著に出やすい。そこで本記事では、主要なエナジージェル5銘柄(GU、SIS、Maurten、WINZONE、Mag-on)のカフェイン含有量を比較し、安全にレース後半を乗り切るための選び方と摂取タイミングを解説する。
結論:カフェイン量は銘柄によって大きな差がある
先に結論を述べると、各ジェルのカフェイン含有量は1包あたり0mgから最大で約75mgまでと、銘柄によって大きな開きがある。自分の体重やカフェイン耐性、レース中の体調に合わせて適切な製品を選ぶことが、後半の心拍爆上がりを防ぐ鍵になる。なお、本記事で示すカフェイン量は各メーカーの公式情報および公表されている栄養成分表示に基づくが、製品のリニューアルや販売国によって数値が異なる場合があるため、購入前に必ずパッケージの表示を確認してほしい。
主要5銘柄のカフェイン量を比較
まずは、GU、SIS、Maurten、WINZONE、Mag-onの5銘柄について、カフェイン入りジェルとカフェインフリージェルの1包あたりのカフェイン含有量を表にまとめた。
| ブランド | 製品名 | 1包あたりカフェイン量(公称値) |
| --- | --- | --- |
| GU | GU エナジージェル(カフェイン入り) | 約20~40mg(フレーバーにより異なる) |
| GU | GU エナジージェル(カフェインフリー) | 0mg |
| SIS | SIS GO エナジージェル(カフェイン入り) | 約75mg |
| SIS | SIS GO エナジージェル(カフェインフリー) | 0mg |
| Maurten | Gel 100 Caf 100 | 100mg |
| Maurten | Gel 100 | 0mg |
| WINZONE | WINZONE エナジージェル(カフェイン入り) | 約50mg |
| WINZONE | WINZONE エナジージェル(カフェインフリー) | 0mg |
| Mag-on | Mag-on エナジージェル(カフェイン入り) | 約25mg |
| Mag-on | Mag-on エナジージェル(カフェインフリー) | 0mg |
※GUのカフェイン量はフレーバーによって異なり、公式サイトでは「カフェイン入り」と「カフェインフリー」の区別はあるが、具体的なミリグラム数はパッケージに記載されていない場合がある。上記の数値は海外のランニングフォーラムやレビューサイトで報告されている目安であり、正確な数値は購入時に確認が必要。
カフェイン量の違いが生まれる理由
銘柄によってカフェイン量が異なるのは、各メーカーが想定する使用シーンやターゲットが異なるためだ。たとえばMaurtenのGel 100 Caf 100は、1包で100mgと比較的高用量のカフェインを配合している。これはエリートランナーがレース終盤に爆発的な集中力とエネルギーを求める場面を想定した設計といえる。一方、Mag-onは約25mgと控えめで、カフェインに敏感なランナーや初めてカフェイン入りジェルを試す人でも取り入れやすい。SISの75mgは、カフェインの効果をしっかり得たいが、Maurtenほど強力ではない中間的なポジションだ。GUはフレーバーによって幅があり、好みや目的に合わせて選べる柔軟性がある。
フルマラソン後半に適したカフェイン量の目安
では、実際にフルマラソン後半で心拍爆上がりを防ぎつつ、カフェインの恩恵を受けるにはどの程度の量が適切なのか。一般的に、運動前のカフェイン摂取量は体重1kgあたり3~6mgが効果的とされているが、レース中の追加摂取はこれより少なめに抑えるのが安全だ。体重60kgのランナーであれば、レース全体で合計100~200mg程度に収めることが一つの目安になる。ただし、普段からコーヒーやエナジードリンクを習慣的に摂取している人と、ほとんどカフェインを摂らない人では耐性が大きく異なる。日頃カフェインをあまり摂らない人は、少量でも心拍数が上がりやすいため、まずはカフェイン量の少ないジェルから試し、練習で反応を確認することが重要だ。
カフェインによる心拍数上昇を防ぐ摂取タイミング
心拍数の爆上がりを防ぐには、摂取タイミングも重要になる。レース後半にカフェインを摂る場合、少なくとも30km地点より前、できれば25km前後で1回目のカフェイン入りジェルを摂取し、その後はカフェインフリーのジェルでエネルギーを補給するという戦略が有効だ。カフェインの血中濃度がピークに達するのは摂取後30~60分程度とされているため、35km以降の苦しい時間帯に効果を発揮させるには、逆算して早めに摂っておく必要がある。また、一度に大量のカフェインを摂るのではなく、少量を複数回に分けて摂ることで、心拍数への急激な影響を和らげることができる。たとえば、25kmでカフェイン入りジェルを半分だけ摂り、残りは30kmで摂取するといった工夫も考えられるが、開封後の携行には注意が必要だ。
カフェイン以外の成分もチェックしよう
カフェイン量だけに注目しがちだが、ジェルに含まれる他の成分も心拍数や胃腸の調子に影響を与える。たとえば、糖質の種類や濃度、電解質のバランス、保存料や香料の有無などは、胃への負担や吸収速度に関わる。Maurtenのハイドロゲルは、胃を通過して腸で吸収されやすい設計で、胃腸トラブルを起こしにくいとされている。一方、GUやSISはマルトデキストリンとフルクトースの混合物が多く、吸収が速い反面、個人によっては胃もたれを感じることがある。カフェインに敏感なランナーは、カフェインフリーのジェルでも心拍数が上がることがあるため、レース前に複数の銘柄を試し、自分に合うものを見極めることが大切だ。
レース前に必ず練習でテストする
どれだけ評判の良いジェルでも、レース本番で初めて使うのは避けるべきだ。カフェイン入りジェルは特に個人差が大きく、少量でも動悸や吐き気を催す場合がある。必ずレースペースに近い強度の練習で試し、心拍数の変化や胃腸の調子、味の好みを確認しておく。理想的には、30km走などのロング走で本番と同じ補給計画をシミュレーションし、後半の失速や体調不良が起きないかを検証する。もし練習中に心拍数の異常な上昇や気分の悪さを感じたら、その製品の使用を中止し、カフェイン量の少ない製品やカフェインフリーのジェルに切り替えることを検討しよう。
掲示板やレビューに見るリアルな悩みと対策
海外掲示板のRedditやLetsRunでは、カフェイン入りジェルに関する様々な体験談が共有されている。「MaurtenのGel 100 Caf 100をレースで使ったら、35kmで心臓がバクバクしてペースを落とさざるを得なかった」という声や、「SISのカフェインジェルは75mgでちょうど良く、ラスト5kmのスパートに効いた」という意見など、反応は人それぞれだ。また、「GUのカフェイン入りはフレーバーによって効き方が違う気がする」といった声もあり、同じブランドでも製品ごとに体感が異なることがうかがえる。これらの体験から学べるのは、自分の体質やレース当日のコンディションに合わせて、カフェイン量だけでなく、ジェルのテクスチャーや味、吸収速度も含めて総合的に選ぶ必要があるということだ。
カフェイン入りジェルが向いている人・向いていない人
向いている人
- 普段からコーヒーやエナジードリンクでカフェインを摂取しており、耐性がある人
- レース後半に集中力を高め、疲労感を軽減したい人
- 練習でカフェイン入りジェルを試し、心拍数の上昇が許容範囲内であることを確認した人
- 30km以降の失速を防ぎ、ラストスパートをかけたい記録志向のランナー
向いていない人
- カフェインに敏感で、少量でも動悸や不眠を感じる人
- 胃腸が弱く、カフェインで胃痛や下痢を起こしやすい人
- 高血圧や心臓に持病がある人(使用前に医師に相談が必要)
- 初めてのフルマラソンで、補給計画にまだ慣れていない初心者
買う前に確認すべきポイント
実際にカフェイン入りジェルを購入する際には、以下の点を必ずチェックしてほしい。
- パッケージに記載されたカフェイン量(mg)を確認する。フレーバーによって異なる場合があるので注意。
- カフェインフリーバージョンも用意されているかどうか。レース中にカフェインの摂取量を調整したい場合、両方を揃えておくと安心。
- ジェルのテクスチャー(とろみ、固さ)や味の好み。特にMaurtenは独特のゼリー状で、好き嫌いが分かれる。
- 糖質の種類と量。マルトデキストリン主体か、フルクトースとの混合かで吸収速度や胃への負担が変わる。
- 電解質(ナトリウム、カリウムなど)の含有量。発汗量が多い季節やコースプロファイルに合わせて選ぶ。
- 保存料や着色料、人工甘味料の有無。胃腸の敏感な人は無添加の製品を選ぶとトラブルが少ない。
主要5銘柄の特徴と選び方
ここからは、各ブランドの特徴を詳しく見ていこう。
GU エナジージェル
GUはアメリカ発の老舗ブランドで、フレーバーの豊富さが最大の魅力だ。カフェイン入りは「エスプレッソラブ」や「チョコレートアウトレイジ」など、味にアクセントがあるものが多い。カフェイン量はフレーバーによって20~40mgと幅があり、公式サイトでは「カフェイン入り」と明記されているが、正確なmg数はパッケージに記載されていない場合がある。海外のレビューでは「GUのカフェイン入りは他のブランドよりマイルドに感じる」という声もあり、カフェイン初心者でも試しやすい。ただし、テクスチャーはやや重めで、水と一緒に摂らないと飲み込みにくいと感じる人もいる。
SIS GO エナジージェル
SIS(サイエンス・イン・スポーツ)はイギリスのブランドで、等張性ジェルとして知られる。カフェイン入りは1包75mgと比較的高めで、しっかりとした覚醒効果を求めるランナーに人気だ。等張性のため水分と一緒に摂る必要がなく、胃への負担が少ないとされている。味はベリー系やシトラス系など、さっぱりしたものが多い。レース中の飲みやすさを重視するなら、SISは有力な選択肢になる。
Maurten Gel 100 Caf 100
Maurtenはスウェーデンのブランドで、特許取得のハイドロゲル技術を採用している。Gel 100 Caf 100は1包あたり100mgのカフェインを含み、今回比較した中では最も高用量だ。エリートランナーやサブ3を狙う上級者に支持されており、胃腸への負担が少なく、吸収が速いのが特長。ただし、価格が1包あたり約990円(公式サイト調べ)と高めで、味や食感が独特なため、好き嫌いが分かれる。カフェイン量が多いので、耐性のない人がレース後半に摂ると心拍数が急上昇するリスクがある。
WINZONE エナジージェル
WINZONEは日本のブランドで、国内のランナーに広く使われている。カフェイン入りは約50mgと、中程度の含有量だ。マイルドな味わいと手頃な価格が魅力で、初心者から中級者まで幅広く支持されている。ジェルのテクスチャーは比較的サラッとしており、飲み込みやすい。カフェイン量が50mgと、効果を感じつつも強すぎないバランスが特徴で、初めてカフェイン入りジェルを試すランナーにもおすすめできる。
Mag-on エナジージェル
Mag-onも日本で人気のブランドで、カフェイン入りは約25mgと控えめな含有量だ。カフェインに敏感な人や、レース中に複数回ジェルを摂取する予定の人に向いている。マグネシウムを配合している製品が多く、筋肉のけいれん予防を期待するランナーに選ばれている。味はフルーツ系が中心で、食べやすいと評判だ。カフェイン量が少ないため、心拍数への影響を最小限に抑えたい場合の第一候補になる。
レースプラン別カフェイン摂取モデル
ここでは、目標タイムやカフェイン耐性に応じた補給プランの例を紹介する。あくまで一例であり、個人差が大きいため、必ず練習で検証してから本番に臨んでほしい。
- サブ4を目指す初マラソンランナー(カフェイン低耐性)
15kmでカフェインフリージェル、25kmでMag-onのカフェイン入り(25mg)、30km以降はカフェインフリージェルで調整。
- サブ3.5を狙う中級者(カフェイン中耐性)
10kmでカフェインフリージェル、20kmでWINZONE(50mg)、30kmでSIS(75mg)を摂り、ラストスパートに備える。ただし、SISは75mgと高めなので、30km時点での体調と心拍数を確認しながら判断する。
- サブ3を狙う上級者(カフェイン高耐性)
スタート前にMaurten Gel 100 Caf 100(100mg)を摂取し、15kmでカフェインフリージェル、25kmで再度Maurten Caf 100、35kmでGUのカフェイン入り(約40mg)を追加。合計200mgを超えるため、普段から高用量のカフェインを摂取しているランナーに限る。
カフェインの過剰摂取に要注意
カフェインは適量であればパフォーマンスを向上させるが、過剰に摂取すると心拍数の異常な上昇、不整脈、めまい、吐き気、不安感などの症状を引き起こす。特にフルマラソン後半は脱水状態になりやすく、カフェインの作用が強く出ることがある。レース中に「心臓が口から飛び出しそう」「頭がクラクラする」と感じたら、すぐにカフェインの摂取を中止し、水分を補給しながらペースを落とすこと。症状が改善しない場合は、医療スタッフの助けを求めるべきだ。また、カフェイン入りジェルとカフェイン入りドリンクを併用すると、意図せず過剰摂取になる可能性があるため、レース前にエイドステーションで提供される飲料の成分も確認しておくと安心だ。
初心者がやりがちな失敗と回避策
カフェイン入りジェルにまつわる失敗談は多い。よくあるのが、「レース直前にカフェイン入りジェルを試し、胃がもたれて走れなくなった」「30kmで初めてカフェイン入りを摂ったら心拍数が190を超えて歩くはめになった」といったケースだ。これらの失敗を避けるためには、以下の点を守ってほしい。
- 必ず練習で試し、本番と同じタイミングで摂取する。
- カフェイン入りジェルは1回のレースで1~2個までに抑え、残りはカフェインフリーにする。
- 胃腸の調子が悪い日は、無理にカフェイン入りを摂らない。
- ジェルを摂る際は、必ず水と一緒に流し込む(等張性ジェル以外)。
- レース後半は心拍数が上がりやすいので、カフェイン入りは30kmまでに済ませる。
まとめ:自分に合ったカフェイン量で後半の失速を防ごう
フルマラソン後半の心拍爆上がりを防ぐには、カフェイン量の異なるジェルを適切に使い分けることが重要だ。各銘柄のカフェイン含有量を把握し、自分の体重や耐性、レースプランに合った製品を選ぶことで、カフェインのメリットを最大限に活かしながらリスクを抑えられる。特に、カフェインに敏感な人はMag-onやGUの低用量フレーバーから試し、徐々に自分に合った量を見つけていくと良い。逆に、高用量を求めるならMaurtenやSISが選択肢になるが、必ず事前のテストを怠らないこと。レース本番で後悔しないために、今すぐお気に入りのジェルを手に入れ、次のロング走で試してみてほしい。
よくある質問
カフェイン入りジェルとカフェインフリージェルを混ぜて使っても大丈夫?
問題ない。むしろ、レース中のカフェイン総量を調整するために、両方を組み合わせるのが一般的な戦略だ。たとえば、前半はカフェインフリーでエネルギーを補給し、後半の勝負所でカフェイン入りを摂るといった使い方ができる。
カフェイン入りジェルを摂るベストなタイミングは?
レースの25~30km地点が目安。カフェインの効果は摂取後30~60分でピークに達するため、35km以降の苦しい時間帯に効果が出るように逆算する。ただし、個人差があるので練習で確認すること。
カフェイン入りジェルで心拍数が上がった場合、どう対処すればいい?
まずはペースを落とし、深呼吸をして落ち着かせる。水を飲んでカフェインの吸収を緩やかにし、しばらく様子を見る。症状が続くようなら、それ以上のカフェイン摂取を中止し、場合によっては医療スタッフに相談する。
カフェインフリーのジェルでも心拍数は上がることがある?
カフェインが含まれていなくても、糖質の急激な吸収によって血糖値が変動し、心拍数に影響を与えることがある。また、レース中の緊張や脱水、気温などの要因でも心拍数は上昇するため、カフェインだけが原因とは限らない。
どのブランドのジェルが一番胃に優しい?
胃への優しさは個人差が大きいが、Maurtenのハイドロゲルは胃を通過しやすく、胃腸トラブルが少ないと評価されている。SISの等張性ジェルも水分が不要で胃に負担をかけにくい。ただし、味やテクスチャーの好みもあるため、いくつか試して自分に合うものを見つけるのが最善だ。
カフェイン入りジェルは毎回の練習で使うべき?
毎回使う必要はない。カフェインに体が慣れて効果が薄れるのを防ぐため、普段の練習ではカフェインフリーを使い、レース前の重要なポイント練習やレース本番でのみカフェイン入りを使う「カフェイン・テーパリング」という手法もある。重要なのは、レースで使う予定のジェルを事前に試しておくことだ。






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